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子どもへの高層住宅の影響(1)

2020年6月20日「土曜日」更新の日記

2020-06-20の日記のIMAGE
ある雑誌のインタビュー記事で、高層住宅に住む幼児を持つ母親たちがこんなことを言っていました。「エレベーターのボタンに手が届かないので、三歳の子どもが一人で外に遊びに行けないんです。」以前なら気にとめなかったに違いない記事ですが、自分が親になって幼児の外遊びの大切さを知り、それとともにいつもつきそって外に出ることの大変さを感じていた私は、これはしんどいことだと考えて、ため息が出てしまいました。三歳になれば一人で近くの公園に遊びに行ってくれるだろう。その間にゆっくり家事をしたい、本も読みたいと、子どもが二歳の誕生日をすぎたころからその日を心待ちにしていたのですが、高層住宅では、エレベーターボタンに手が届く四歳ごろまで、親がつきそわなければ外に遊びに行けない、となると、親が忙しい日は戸外に出ない日もあるだろうし、親離れ、自立という面でも心配です。
・高層住宅の危険と不安
一四階建ての公団住宅に住む知人を訪ねた時のことです。エレベーターに「痴漢が出たので、夜子どもを一人で外に出さないように」という貼紙を見て、ドキッとしたことがありました。エレベーターは扉がしまると密室になります。窓はついているものの、エレベーターホールにも人影がなく、もしもの時、助けを呼べるのかしらとこわくなりました。「そんな不安を裏づけるような本がありました。『不安な高層、安心な高層』(湯川利和著、学芸出版社)です。著者は大学の先生で、十数年にわたって高層住宅に住む主婦と幼児を対象に調査をつづけています。その調査をもとに、この本では、幼児(〇~七歳)のいる家族は、できるだけ中低層のマンションか、育児や防犯を考慮した高層住宅の低層階(七階まで)を探すべきだと言っています。高層住宅は階段や廊下、エレベーターを共有する戸数が多いため近所づきあいがしにくく、見知らぬ人の出入りが多くなること。また、屋内の共用部分が多くなり、人通りが絶えた時、それが死角となって犯罪が起きやすいことなどが指摘されています。顔見知りの近所の人ばかりの場であれば親は安心して子どもだけで外に出せるのですが、これではエレベーターボタンに手が届く年齢になっても、子どもを外に出すことが不安になってしまいます。

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