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母親が孤立しない家づくり(2)

2020年6月19日「金曜日」更新の日記

2020-06-19の日記のIMAGE
・団地の児童公園は赤ちゃんの庭
団地の一室にこもり、このままでは「育児ノイローゼ」になりかねなかった私が救われたのは、ある日、ふと子連れで団地の児童公園に出たことでした。天気がよい日だったので、公園にはベビーカーを押した新米ふうの母親がたくさんいました。私が妊婦だった時に声をかけてくれた少し先輩の母親が、その中の唯一の知り合いでしたが、しばらくすると「離乳食はもう始めています?」「抱きぐせがつくと困るって言われるんだけど......」と初めて会った人たちにさっそく育児相談と情報交換。子どもが生まれる前、長年公園の前を通っていたのですが、そこでそんな切実なコミュニケーションが行われていたなんて露とも知りませんでした。集合住宅ではそれぞれの家に庭がないので、天気のよい日は赤ちゃんはたいてい児童公園で日光浴します。近所の母親同士が出会う機会がそれだけ多いのは集合住宅のいいところでしょう。
・必要なのは設計以前のこと
昔ながらの閑静な住宅地に三世代で住む友人は、どの家も子どもたちが大きくなっていて、近所に幼児のいる家がないので困ると言っていました。たしかに、一戸建ての住宅地の中の児童公園は、郊外の団地の児童公園ほどにぎわっていないようです。子育ての第一ステップは、まず散歩で行ける範囲に友人を見つけることだとつくづく思うのですが、住む場所によってはそれもなかなかむずかしくなっているのです。小さい子どものいる住まいの工夫は、設計にかかわる者として以前からあれこれ楽しく考えてきたつもりでしたが、親になってみたら一番必要なのは、設計以前の話である、住まいをとりまく子育て環境であると思うようになりました。せめて設計者として心がけたいことは、孤立しがちな母親が少しでも外とつながりを持てるように、外に向かって開かれた家にしたいということです。
子どもの気配の伝わる家
塀が高かったり門構えが立派な家は、子育て中はありがたくありません。庭先の洗濯物から小さな子どもが住んでいる家だとわかるような見通しのよい家のほうがいいのです。それにしても、子どもが生まれて、近所の存在がとても大きく頼りがいのあるものに変わりました。子育て期間は近所づきあいを勉強する機会でもあると思っています。

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