不動産探しと暮らしのアイデアを伝授!住まING

トップ > 令和2年2月> 25日

生き方を見直す好機に

2020年2月25日「火曜日」更新の日記

2020-02-25の日記のIMAGE
東京都・倉田勉さん(56歳)の家(1)家夫妻の寝室を1階と2階に分けたい。(2)ダイニング・キッチンを広くして、リビングとは独立して使えるようにしたい。この2つが、50代のご夫妻がリフォームにあたって考えたおもな希望でした。設計の依頼主は、住宅販売会社の重役である倉田勉さんと、奥さまの菊代さん(54歳)です。倉田さんご夫妻は、子どもが結婚して独立してから2人暮らしでしたが、思いきってリフォームを計画。以前、私が講師をした住宅セミナーを聴講していたことから、設計を依頼されました。リフォームの動機をくわしくたずねると、前述のほかにもありました。それは、単なる快適に第暮らすためのリフォームではなく、50代以降の2人の生き方も含めて住まいを見直そうということだったようです。仕事と生活の調和をはかりながら、お互いの心(内面性)を豊かにする場としての家をつくりたい、という知的人生のためのリフォームが目的でもありました。具体的にどのようにするか、すぐには答えが出せません。まず、当面の問題から話しあってたどりついたのが、1つ目の希望である夫妻別室ということでした。ご主人は勤務で遅くなることが多く、帰宅してから入浴してすぐに寝たいので1階部分に寝室があれば便利だからという理由で、ご主人の寝室は玄関のすぐ隣の、もとは洋室だったところに配置しました。一方、奥さまの菊代さんは考古学に興味をもち、取材して原稿も書くライターの仕事をもっています。また、趣味も幅広く、とくにオペラが好きで海外にも鑑賞に出かけるという行動派です。「主人とは生活のリズムが違っていますし、夜中に会社の人を連れてくることも多いので、そのたびに接客するのも大変です。会社の人も気をつかうでしょう。そうしたことも解消したい」といい、2階に寝室を希望されました。夫と妻の寝室を上下に分けることで、お互いに時間を大事に使えて都合がよい、ということが納得できたところで設計に入りました。2階にもトイレを設けたので、夜中の来客があっても菊代さんは階下のトイレまで下りて来客と顔を合わせなくてもすみます。ご主人が退職後は、寝室を2階にして隣りあわせにしてもよい、と考えています。階段はゆったりとってあり、手すりを壁に取りつけてあります。代のリフォームは寝室ひとつ考えるのにも、夫妻の現在と将来の生き方も含め、よい関係が保てるように、夫と妻の生き方をいろいろ考え直すよい機会でもあるといえます。

このページの先頭へ