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親との同居と自分たちの老後住宅

2020年2月15日「土曜日」更新の日記

2020-02-15の日記のIMAGE
東京都内で歯科医院を経営する岡田志郎さんが一念発起してマイホームを建てたのは、四六歳のときである。四六歳といえばまだまだ若いようにも思うが、岡田さんは将来を見越した家づくりをはっきりと意識。設計に関する要望も、はじめて私がお会いした時点ですでにきわめて具体的だった。そのひとつが第二の歯医者人生計画である。現在は自宅から少し離れた場所で歯科医院を経営し、毎日、自転車で通っているが、六○歳を過ぎたら自宅内に小さな診療室を設け、昔なじみの患者さんだけを相手にマイペースで仕事をしたいという。「第一線を退いても、患者さんが来てくださる限りは治療を続けたいんです」新居の半地下にクルマニ台分の大き過ぎる駐車場を設けたのはそのためだ。必要とあらば、いつでも駐車場をつぶして診療室に改造できる。天野彰得意の増殖見込みプランである。将来、親と同居する可能性もあった。しかし最初から二世帯住宅にしてしまっては、同居が実現しなかったときには無駄になる。かといって同居が決まってからバタバタと改造するのもいやだという。「二世帯含みでお願いします」というのが当初からの希望だ。しかし、岡田さんからの注文はそれだけではなかった。「おそらく私の建てる最後の家になるでしょう。だから安心して年齢を重ねていける家にしたいんです。安全な建材を使った健康住宅で、私たち夫婦の足腰が弱っても無理なく暮らせる家で、家族の団蕊を大事にできる家で、外見はできるだけ都会的な明るい感じで」うん、うん。メモをとりながら、私のなかでもむらむらと挑戦意欲がわいてきた。前向きで積極的な建て主さんと話をするのはいつでも楽しい。「時間はかかっても、心から満足できる家をつくりたい」という岡田さんの意向を尊重して、毎月三回のペースで打ち合わせを重ね、設計図が完成したのは一年後のことだった。

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