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バリアフリーとは何なのか(2)

2020年2月5日「水曜日」更新の日記

2020-02-05の日記のIMAGE
同居生活では、ただでさえ孫たちに「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ばれ、否応なく自らの老いを自覚させられる毎日なのである。そのうえさらに手すりに頼った生活が日常化するとしたら、心身ともに老け込んでしまうことが目に見えているではないか。高齢者が住む住宅では、ボケ防止、寝たきり防止のためにも、日常生活のなかである程度、心身を鍛えられる工夫をしておくほうがいいと私は考えている。二世帯同居住宅では、親夫婦が二階に住むというのも一法だ。しっかりした手すりさえつけておけば、毎日階段を上り下りしてもさほどたいへんなことではない。しかし、廊下にまで手すりは必要だろうか。そんなものは、ほんとうに足腰が弱くなってから設置すればいいのではないか。必要になったときに取りつけられるよう、壁の内部を補強しておけばいいのだ。車椅子用の玄関スロープに関しては、むしろその危険性のほうを強調したい。広々とした欧米の家と違い、敷地に余裕のない日本の家では、玄関前にスロープを取りつけたとしても、傾斜がきつかったり、急角度でカーブしたりする。そんなスロープを、車椅子の老人が自力で上り下りしようとして滑り落ちてしまったらどんなことになるだろう。実際にスロープを滑り落ちて、家の前の道路に飛び出してしまったという事故も起こっている。老後住宅の目玉のようにいわれる家庭用エレベーターも同じだ。車椅子の老人が介護者なしで安全に乗り降りし、自力で操作することが簡単だとは思えない。恥識は玄関スロープも、家庭用エレベーターも、介護者あってのものである。だとしたら玄関にスロープなどつくるよりも、誰かにしっかりと身体を支えてもらって、「よっこらしよ」と車椅子を降りるほうがよほど現実的で安全なのかもしれない。

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