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所有権移転と登記一ドイツとフランス

2019年12月17日「火曜日」更新の日記

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土地や建物の所有権を移転するとき、ドイツなどのように、登記をしないと法律的に所有権が移転しないという国がある。また、フランスなどのように、「では移転しますよ」「はい、受けました」といえば、そういう意思表示だけで、登記をしなくても移転してしまう国もある。ライン河を渡っただけで、こんなにも違う。もっとも、フランスの場合でも、ふつうは口約束だけでなく、公証人役場に行って膨大な契約証書を作成し、そして、その権利を確保するために、登記所へ行って登記もする。そして、そういうことを踏まえて、ドイツでは登記するときに登記税をとらないが、フランスでは、登記をしてあげているということからか、登記税をとる。<登記で権利を保全してあげるから税金を払え>日本では、フランスと同様に、登記をしなくても、意思表示だけで所有権が移転する法制を採っている。しかし、たとえば、土地の売買をして、その売買が契約によって有効に成立したとしても、買主が直ぐに登記をしておかないと、その間に、売主が別の人にその土地を売ってしまって、その人が先に登記をしてしまうと、その人の土地になってしまうという制度になっている。したがって、買主は、自分の権利を守るため-第三者対抗力といっているが-に、登記をしている。それで、課税側は、登録免許税というのは、登記簿に記載するだけの手数料ではないので、その権利を国が保護してあげるための対価である、だから、これくらいの税金は、その財産的価値にくらべれば、割高ではないのだといっている。また、土地を買うための資金調達のため借入れをすると、抵当権を設定しなければならないが、その前提として、土地の所有権移転登記をしておかなければならない。そら見ろ、登記することによって、こういう経済利益も得られるのだ。こういうことを考えれば、登録免許税は高いとはいえないのではないか。保護してもらいたくなかったら、登記をしなければいいでしょう。これが課税側の言い分のようである。しかし、このような解説は、土地・建物の登記制度の根幹を蝕むものと考えていないのであろうか。このことが、登録免許税を節税するため、いわゆる中間省略もあり、登記簿が権利関係の実体を反映せず、登記簿のみを信頼して取引できない事態をももたらしている。

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