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次々変わる不動産投資のトレンド

2019年11月20日「水曜日」更新の日記

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ところで、個人投資家の不動産投資にはトレンド(流行)のようなものがあります。昨今の個人の不動産投資ブームはそもそも、2000年にロバート・キヨサキ氏の著書『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)の日本語版が刊行されたことから始まりました。当初は、地方都市の新築アパートを買うことがトレンドでした。札幌や仙台、福岡あたりにある全6~8戸で、物件価格は4000万~6000万円、表面利回りにして9~10パーセントの木造新築アパートを、自己資金500万~1500万円程度で買うというようなものでした。このトレンドに乗り、福岡では「ノンリコースローン」(ローンが払えなくなったらアパートを手放すことで残債をなくすことができるローン)とセット販売を行うアパート業者も登場。不動産投資市場はどんどん過熱していきました。その次のトレンドは、中古のRCマンション一棟買いです。築3~30年程度、1億~2億円くらいで全0戸、などというボリュームある物件で行うこの投資を、諸費用まで含めてなんと自己資金ゼロ、あるいは諸費用として自己資金1500万円程度を捻出し、残りはすべてローンでまかなって購入するというような投資法が広まりました。その当時、表面利回りは2ケタありました。そのため、経費を除いた手取り年収が会社からの年間給与収入を上回り、サラリーマンを辞めてしまう人もたくさん出ました。年収400万円台のOLが2億円の物件をフルローン(全額ローン)で購入し、経費を差し引いた年収が700万円にのぼって勤め先を辞めてしまった実話なども話題になりました。ところが、投資熱が過熱したことで物件価格は上昇し、2003年ごろには利回りが下がり始めます。不動産投資で収益を上げるには、中古のRC物件の場合、最低でも表面利回りで2~3パーセントはほしいところなのですが、2007年ごろには8パーセント台にまで下がってしまう局面も。結果的に経費を除いた家賃収入が大きく減少し、投資のリスクが顕在化してしまいました。やがて融資が引き締められ、個人投資家が不動産を買いたくても買えない状況になったこともあり、一時のブームは終焉を迎えました。じつは、不動産投資は「融資」と非常に密接な関係にあります。簡単にいえば、金融機関が融資を緩和するようになる、つまり積極的に貸し出しを行うようになれば、それだけ不動産投資を行うことのできる人が増加し、不動産市場が活況を呈します。ただし、それによって不動産価格にも上昇圧力が働くようになり、やがてはブームの終わりがやってくることになります。逆に、金融機関が融資を引き締める、つまり貸し出しに消極的になれば、それだけ不動産投資をしようとするプレイヤーが減少してしまいます。実際に買える物件も、より安価なものにならざるをえず、それが不動産価格の下落圧力になっていきます。このようにして不動産投資は、活況期と低調期をくり返していきます。

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