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勤める会社の明日はどうなる?

2019年11月18日「月曜日」更新の日記

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3ページの図表2をご覧ください。総務省の「労働力調査」(平成9年79月期平均)によると、労働者全体の3分の1超が非正規雇用者となっていることがわかります。現在は正社員として働いているとしても、売り上げアップ、利益率アップ、経費削減を要求され、会社からの締めつけは厳しくなる一方――という環境下で働いている人が多いでしょう。かといって、会社に不満があっても、この不況では転職も容易ではありません。転職に失敗し、当座の生活費を稼ぐためにしかたなく非正規労働に就き、そのことがさらに次の転職を難しくする......といった負のスパイラルも起こっています。そもそも、勤めている会社自体、明日はどうなるか、誰にも確実なことはいえません。私が身を置く不動産・建設業界では、2008年以降、かつてない数の企業の倒産を記録しています。たとえば「全国企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)によれば、不動産・建設業の倒産数は、2008年1月|2009年12月の2年間で9725件にもおよびます。上場企業でも倒産があいついでいますが、上場企業に絞れば、その過半数を不動産・建設業が占めたほどです。不況にあえぐ企業がコスト・人件費の削減圧力を強める中、雇用を維持しつつ、賃金総額を引き下げるために「ワークシェアリング」を導入する動きも一部で加速しました。また、電機メーカーが先行するかたちで、副業禁止規定を撤回する企業も急増しました。「この会社にだけ忠誠を習い、人生を預けてくれるなら、一生あなたの生活を保証しますよ」という日本企業独特の終身雇用モデルを、企業自らが手放す時代になったのです。2010年に入り、鉱工業生産指数など景気を占う各種先行指標やGDPに持ち直しの動きも見られるようになり、「景気二番底」懸念はひとまず回避された、というような報道も増えてきました。この見方は専門家によってもさまざまで、「景気はこのまま持ち直す」という人もいれば、「まだまだ二番底懸念は払拭できない」とする人もいます。ちなみに私は後者です。短期的なことは誰にも正確に予想できないと思いますが、中長期的には、今後、政治・経済が向かうべき方向性やビジョンの共有と産業の構造転換がなされないかぎり、本当の意味での景気回復はやってこないでしょう。市場経済主義的な方向を目指すのか、社会主義的な方向なのか、日本ならではの方針・ビジョンもはっきり打ち出さないと、景気不透明感が払拭されることもないと思います。2009年は、大企業でさえボーナス2割カット、年間所得は5パーセント近くも下落しました。中小企業を取り巻く状況がさらに悪いものであることはいうまでもありません。日本の内需に対する悪影響は、これからますます顕在化してくることでしょう。所得滅で消費が冷え込み、それがまたじわじわとデフレを進行させ、企業の業績が悪化し、さらなる所得減を引き起こす――そんな懸念を拭えません。「街角景気も回復傾向」と一部報じられてはいるものの、私は、景気の落ち込みがようやく「止まった」というくらいの認識でいます。株価や景気指標の持ち直しも、恒常的なものではないのです。

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