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多様な関連事業主体に期待される役割

2019年11月10日「日曜日」更新の日記

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現行制度に以上の新スキームやバリエーションを加えて考えると、リバースモーゲージの関連事業は実に多彩で官民のさまざまな主体が関わる可能性が出てきます。既に、金融・保険・不動産など各種の業界や税理士・弁護士などの実務家有志がいくつかの研究会を発足させ、リバースモーゲージの普及期に向けてビジネスチャンスをうかがっています。表4-3は、現行の制度や商品が存続し、新スキームとバリエーションのすべてが実現した場合に想定される事業主体を網羅的に列挙したものです。国は全国バージョンの新スキームを制度化し、これに不可欠な保険機構および二次市場の整備や税制措置を講じる役割を担うことになります。融資主体には、国が認可する民間の金融機関、年金福祉事業団や住宅金融公庫のような公的金融機関が挙げられます。民間金融機関はこれまでは自ら行うリスクヘッジに限界があったため、厳しい条件を課して融資してきましたが、中堅資産保有層を対象とする保険付きの新スキームが普及する段階になれば、その融資主体となると同時に現行商品の拡充も併せて行うことになるでしょう。公的機関である住宅金融公庫はこれまで中堅所得者の住宅取得支援を主な業務として多大な貢献をしてきましたが、新たな役割の一つとして、新スキームにおいて融資主体からローン債権を買い取り、既存の住宅ローンとともに証券化することが考えられます。また、新スキームで想定している民間保険と公的機関による再保険のダブル保険のシステムが整備されるまで、通常の住宅ローンを対象とした現行の住宅融資保険制度を活用してリバースモーゲージの融資主体のリスクヘッジを支援することも考えられます。自治体や福祉公社はリスクヘッジ保険を取り込むことで融資条件を緩和して対象者層を拡大し、地域の事情に応じた運営によって現行制度を大幅に拡充することになるでしょう。銀行以外の民間金融機関では、保険会社が本来業務を拡充し、リバースモーゲージの保険の引き受けや証券化された場合の投資家としての機能を果たすことになるでしょう。また、現行で福祉サービスを前提にしているのは公的プランだけですが、今後は新スキームやバリエーションにおいても介護などの福祉サービスのニーズが高まり、サービスの内容も官民の団体・企業・NPOが参入することで多様化・高度化することが想定できます。

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