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新スキームの実現に向けた条件整備4

2019年11月5日「火曜日」更新の日記

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(7)中古住宅評価システムの整備と中古住宅市場の活性化現行スキームか新スキームかを問わず、リバースモーゲージの適用条件や融資額の算定根拠、売却処分時の評価根拠を明らかにするためには、中古住宅の資産価値を低コストで的確に評価することが求められます。わが国では、資産評価が更地状態の地価を中心に行われているため、住宅の機能など上物の評価に関する技術的蓄積が不足し、中古住宅が質に見合って評価されない状況が生じています。建築年数を経た中古住宅の評価は非常に難しくなっているのが実情です。特に共同住宅では、今後、共用部分や専有部分の維持管理の状態を踏まえた評価を行う必要があります。中古住宅を客観的かつ適正に評価する基準の整備を進めることは、リバースモーゲージの普及を図るうえでも重要な課題です。さらにリバースモーゲージの市場を拡大・発展させていくためには、住宅の耐久性やメンテナンスを向上させて資産価値や処分時の流通性を高めて中古住宅市場を活性化することも必要条件になるでしょう。(8)処分後の不動産の活用方策の検討リバースモーゲージの基本的なスキームでは、最終的に居住用不動産は売却処分しなければなりません。本来なら土地・建物とも中古住宅市場で流通するはずですが、わが国では中古住宅の不動産評価が現状では定着していないため、処分時に建物は壊され、再利用はほとんど望めない状況です。また、現行の商品や制度の処分実績を見ると、実際には相続人が利用者の負債を一括返済して不動産を相続しているケースが多く、公的プランでは売却処分の実績はほとんどありません。制度の対象となる住宅資産は多様ですが、まちづくりや公共施設用地への活用など、公共的に見て再利用が望ましい物件もかなりあります。新スキームでは、将来の市街地整備のために利用することが望ましい物件については、契約終了後に有効活用する手法をあらかじめ整備しておく必要があります。物件の取得時期があらかじめ特定できないので計画的な対応は必ずしも容易ではありませんが、利用者層が広がって対象物件も増えれば、代替住宅の提供などでより柔軟に対応することができるでしょう。具体的な有効利用策として、公的住宅や公園などの公共施設、デイケアセンターや老人健康施設などの公的施設の整備に活用することが考えられます。新規の公的住宅供給は用地や財源の確保で限界があるため、リバースモーゲージの対象物件(一戸建て住宅、共同住宅)を公的機関が優先取得し、これを公的住宅として再供給することも検討すべきでしょう。まとまって取得できないため管理の効率性は若干落ちますが、既成市街地のあらゆる地域で公共施設を供給できる可能性があります。なお、リバースモーゲージの普及によって処分物件が続出すると土地の流動化を進めて不動産の供給圧力となるため、地価動向に及ぼす影響の検討も欠かせません。

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