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新スキームの実現に向けた条件整備3

2019年11月4日「月曜日」更新の日記

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(5)担保割れリスクをヘッジするシステムの整備リバースモーゲージは契約時に融資期間を特定できないため、通常の融資行為以上に不確実性が高まります。この不確実性が引き起こす最大の問題は、予想以上の長命や不動産価格の下落、金利上昇による担保割れのリスクです。このリスクをヘッジする保険機能を整備することは、現行制度や現行商品の普及、新スキーム樹立のために絶対不可欠の条件と言えるでしょう。長命リスクは基本的には保険で回避可能です。既に中野区では、現行制度へ保険を導入する検討を始めています。一方、市場に左右される不動産価格の下落リスクと金利の上昇リスクは、個々の事業者がヘッジしようとしても限界があります。現行の制度や商品においても、これらのリスクの拡大は融資水準を低下させて普及の妨げとなる可能性をかなり秘めています。民間のみで保険機能を直ちに整備することは限界があるため、公共の関与を含めた検討が欠かせません。新スキームは、立ち上がり期には公的保険で、中長期的には民間保険と公的機関による再保険で対応することを想定していますが、スキームの実現に先行して、貸し手・借り手・公的機関による適正なリスクシェアリングのあり方をシミュレーションなどで検討すべきでしょう。また、「不動産投資インデックス」のような不動産投資指標(例えば住友信託銀行と住信基礎研究所が共同開発した「STIX」、97年9月)などにより担保割れリスクの回避を検討することも、民間商品のリスクヘッジ手法として効果があると考えられます。(6)資金調達システムの整備リバースモーゲージは事業を開始すると、当面はネガティブ・キャッシュフローの状態で推移することになります。特に全国的な普及を目指す新スキームの場合は、安定期に入るまでの間、資金調達をいかに円滑に行うかがポイントになります。新スキームでは、その立ち上がり期のみの時限的な取り組みとして、公的金融機関によるローン債権の買い取り措置やこれらの証券化による二次市場の形成を目指すことを提案しています。このようにリバースモーゲージの資金調達に公的金融機関が寄与する可能性について、幅広く検証を行う必要があるでしょう。

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