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新スキームの実現に向けた条件整備2

2019年11月3日「日曜日」更新の日記

2019-11-03の日記のIMAGE
(3)高齢者保有資産に対する包括的マネジメント機能の充実バブル崩壊以降も、全資産の中で見るとストック資産はなお安定的で大きな比重を占めています。また、金融自由化などで金融商品は多様化し、高齢期の生活はより長くなり、意思能力喪失や寝たきりなどのリスクが増大することなどを考え合わせると、一部の高額資産保有層だけでなく、資産保有者全般にわたって資産活用や資産管理のニーズが高まることも予想されます。これまでのような個別商品による対応ではこうしたニーズを満たすことは困難です。今後はより包括的な資産管理・資産活用の制度を設けて、その一部にリバースモーゲージを取り組むことも必要になるでしょう。金融業界や保険業界、不動産業界などには、このような包括的な内容を持った資産マネジメント機能を充実し、その環として既存の制度や商品の再構築を図り、併せて新スキームを位置付ける役割が期待されます。(4)実施コストの低減による対象層の拡大現行の民間による商品は対象不動産の価格が1億~2億円以上とされるなど、富裕層向けの制度となっています。公的プランでも対象不動産価格はおおむね5000万円以上です。今後は、手続きや評価システムの整備、トラブル処理のノウハウの蓄積で事務運営のコスト低減を図り、都市部のサラリーマン層などが利用できるように制度の対象を拡大していくことが求められます。リバースモーゲージの融資限度額の設定に決定的な意味を持つ不動産の評価は、現行の制度や商品でも慎重かつ精緻な鑑定によって行われていますが、物件ごとに行うため手間とコストがかかり、鑑定者によるバラツキも出ます。また、いくら精緻に鑑定しても、契約終了時として想定される20年先、30年先の不動産評価額を見通すことはおよそ不可能と言わざるを得ません。既存の制度や商品を改善する一つの方向として、例えば、開示されている固定資産評価額などを基準にした全国一律の簡便な評価方法を確立し、鑑定コストを低減させることが考えられます。新スキームの実現でも、不確定要素を完全に拭い去ることはできないと割り切ったうえで同様の評価方法を準備することが考えられます。

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