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爆発には失火責任法の適用なし

2019年6月24日「月曜日」更新の日記

2019-06-24の日記のIMAGE
ところで「失火」とは「誤って火を失し、火力の単純な燃焼作用で財物を滅失、毀損させる」こと(判例)といわれていますが、ガス爆発は、火災の場合と同様、一種の燃焼作用というものがあることは否定できませんが、しかし、火災と異なるのは、燃焼の速度がはなはだしく急速であり、音響、風圧等を伴うことです。そして、ガス爆発は、火力の単純的燃焼作用によって財物を滅失、毀損させるのではなく、瞬時の風圧や熱によって財物を滅失、毀損するものであり、失火の概念にははいりません。したがって、ガス爆発によって損害をこうむった場合、一般の不法行為が適用され、失火責任法は適用されないことになります。あなたの場合、加害者たる居住者のガス栓の締め忘れが、重過失に当たるかどうかを問題とせずに、軽過失があれば損害賠償請求ができます。ところで被害が、共用部分たる廊下等にも及んでいる場合には、管理責任者が、その補修や損害賠償請求をすることになるでしょう。ところで分譲マンションにおいて、売主たる不動産会社や建設会社が、ガス換気装置や器具等の取付について手抜き工事をしたため、あるいは不良工事をしたため、居住者が中毒死を起こしたうえ、ガス爆発を発生させたという場合には、それにより被害を受けた者は、その不動産会社なり建設会社を相手どって直接損害賠償請求ができるでしょう(民法七〇九条)。以上とは異なり、単純な火事によってガス爆発が誘発されたのであれば、話は別で失火責任法が適用されます。いずれにしてもマンションの一室からのガス爆発による損害は、広範囲でかつ強烈な被害を及ぼすものですから、保険を付すことによって自己防衛することが必要でしょう(住宅火災保険、爆発損害担保特約付火災保険)。

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