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上の階から水漏れがしたため損害を受けたが②

2019年6月22日「土曜日」更新の日記

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各区分所有者の住まいに水を供給するための本管は共用部分で、支管は専有部分と解するのが妥当でしょう。そして水道管の欠陥が本管だとすると、共用部分たる水道管の欠陥による損害ということになりましょう。しかし、実際にはその水道管の欠陥が専有部分か共用部分に該当するのかを明らかにするのはかなりむずかしいと思われます。そこで建物区分所有法は、建物の設置または保存に瑕疵かおることにより他人に損害を生じた場合には、その瑕疵は共用部分の設置または保存にあるものと推定すると規定しました。つまり、水道管の欠陥が専有部分か共用部分かを特定できなくとも、被害者はそれが共用部分に属するものとして区分所有者全員に対して損害賠償を請求できることになります。そうしますと、共有部分の水道管の欠陥により損害を受けたあなたとしては、まず管理責任者に対して、損害賠償を請求すべきでしょう。もし、管理責任者があなたの請求に応じない場合には、売主たる不動産会社に対して、損害賠償を請求することができるというべきです(水道管の欠陥は、債務不履行というべきです。したがって、管理責任者や各区分所有者は、売主たる不動産会社に水道管の欠陥の補修とそれによって発生した損害の賠償請求ができることになります)。水漏れが、上の階の居住者の専有部分たる水道管(支管)の設置の欠陥によるものである場合には、やはり民法七一七条の責任を追及できることになります。しかし通常、上の階の居住者は水道管に欠陥があるか否かわかるはずがないので、何も過失がないのに責任を負わされるのは大変気の毒です(民法七一七条は、たとえ加害者に過失がなくとも土地の工作物の設置・保存に「瑕疵」があれば責任を負わねばならないとしていますのでやむを得ないのです。もっともこのような場合に民法七一七条の適用はないとされれば、過失がない以上、責任を負わないことになります)。しかし、仮りに上の階の区分所有者が第一次的に責任を負うとしても、最終的には水道管の設置にミスをした不動産会社や建設会社が、責任を負うと考えてよいと思います(不動産会社の責圧は、債務不履行責任、建設会社の責任は、不法行為に基づく責任です)。

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