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一体の契約なら不完全履行

2019年6月17日「月曜日」更新の日記

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別途の契約であれば、分譲契約自体を解除されることはないので心配はいりませんが、一体の契約で分譲と造作の注文が取り決めてある場合が問題です。この場合には、マンションを、買手の注文通りに作り上げて引き渡さなければなりません。そうでなければ契約違反です。この場合、まったく履行しないのではなく、不完全な履行だというので、これを「不完全履行」といいます。この場合も、直ちに契約を解除できる、というものではありません。造作などは作り直すことのできるものですから、買主としては、不完全な点を指摘して(双方に不完全な点が明白であれば、具体的な指摘は必要ありません)、一定の期間を定め、その期間内に完全な履行をするよう催告をし、その期間が過ぎてもなお完全な履行がない場合に、はじめて契約の解除ができるにすぎません。反対に、催告の中に期間の定めがない場合も、売主は相当な期間内に完全な履行をすべきで、これを怠ると催告があったのに履行をしなかったものとして、解除が有効とされてもやむを得ないことになります。そこでご質問の場合ですが、引渡しの段階で、不完全な点を指摘されているのですから、これを催告として取り扱い、相当の期間内に手直しをして、その旨の報告と、いつでも引渡しをする旨の通知を買主に対して行い、代金を請求できます。相手が、「いや、あのとき催告なんかしてない、契約を解除したのだ」と言い張っても、催告のない解除は無効ですから、代金の支払いを請求する権利は失われません。かえって催告がなかったということで、完全な履行が催告期間より遅れていないということが立証できるわけです。それでも相手が残金を支払わない場合は、そのことを理由に契約を解除して、すでに受け取った半金の中から損害賠償の分を差し引き、建物は別に他の人のために作り直して売ってもよいことになります。こうすれば損害なく処理できるわけです。

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