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自分はそこに永遠に住む

2019年5月30日「木曜日」更新の日記

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ファミリータイプの賃貸マーケットが一定規模で形成されているという前提条件があり、かつ賃料相場が高くなければ、価格相場が高いということの説明は難しいのです。「それは、その沿線に不動産の購入を検討している実需層にとって親類・縁者が多いとか、その沿線が都心に向かう途中やターミナル駅にたまたま勤務先があるとかいった条件が満たされているだけの私情によって生まれた価値であり、地縁系の売買マーケットなのです。賃貸マーケットが未成熟であり、かつ地縁系の売買マーケットにおいて新駅ができると、その後の展開は、価格が暴落するという法則があります。かつての東京圏なら、埼京線沿線がいい例でしょう。賃料は、そこに永住しようという意識が希薄な層が、一時的にその居住空間に支払う対価です。つまり、地縁に縛られない人の居住空間への対価です。したがって、「自分にとって都合がいいので、自分はそこに永遠に住む」という土着指向的な農耕民族の主観的な動機によって形成されがちな価格(プライス)に比べて、ファミリータイプの賃料は、狩猟民族の経済合理性から見た普遍性があり、より価値(バリュー)の実態に近いものなのです。賃料形成の裏側にある動機とは、自分だけでなく家族や両親または親戚が、一緒になってそこに根を下ろし、終の棲み家にしようとする動機からは最も遠い、最も対極に位置するものです。都会には、さまざまな人々が流入し、さまざまな人々が流出していきますが、これを、人口動態が活発であると専門家は表現します。そうした、さまざまな人々にとって価値がある居住空間への対価が賃料なのです。田舎には、地縁者か観光客しか訪れません。ですから、賃貸マーケットは超短期の旅館とホテルしかないのです。または低所得層向けの公営賃貸住宅、あるいは社宅です。民間が供給するのは大学生や独身ビジネスパーソン相手のワンルームまでで、その学生すら最近は減ってきています。賃貸マーケットと売買マーケットのニーズに乖離が激しいということは、そこが都市文化、都市文明が未成熟な都市であることの証左であり、価格が暴落する可能性が高いということを暗示する傾向なのです。価格(プライス)は、市場心理が強気になれば上がるし、弱気になれば下がるでしょう。不動産に限らず、そういう根拠のない価格形成は世の中に氾濫しています。「しかし、その価格と資産価値とは、別次元の話として考えなければなりません。価値と価格とは、似て非なる言葉なのです。

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