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ニュータウンが衰亡するメカニズム

2019年5月4日「土曜日」更新の日記

2019-05-04の日記のIMAGE
ニュータウンの現実について、もう少し具体的に視覚的に論を進めようと思います。ここでは、ケーススタディでシミュレーションします。仮に、都心から鉄道で1時間の距離にある駅の周辺に開発分譲戸数が3万戸のニュータウンが完成したとします。そこに歳代から歳代のサラリーマンの家族が、ほぼ同時期に3万世帯入居したとします。そうすると、域内の人口は2万人程度になります。住宅ローンを除いて、1所帯が毎月2万円の生活費を域内で消費するとすると、そこには月商8億円の商圏が生まれます。「これは、面積(坪のコンビニに換算すると約200店舗分に相当する売上げです。中小のスーパーマーケットであれば店舗前後、大型スーパーであれば数店舗が成り立つ計算です。そういう地域的な消費経済のある街ができあがります。「その後、その街がどうなるかを考えてみましょう。たとえば8年後を想定してみます。その頃、9歳でニュータウンに入居した人は歳になっています。日本人ならば、統計的に考えて、あと十数年で寿命が尽きる頃合いです。その頃になると、その街で生まれ育った子世代たちはどこにいるでしょうか?たぶん、彼らの多くは、もっと便利なところで暮らしています。そうしないと、仕事にも、遊びにも、不便で仕方がないからです。彼らの大半は、一度そこを出て行ってしまうと、もう戻っては来ません。特に息子たちは戻って来ないことが多いものです。例外的に、親と同居している息子がいたとしても、彼らはフリーターとなっているかもしれません。娘の場合は離婚して、出戻って親と同居する場合もあります。しかし普通は、息子も、娘も戻って来ないでしょう。そうすると、街の人口は高齢者だけで過半数を占めるようになっています。高齢者の家族のなかには、年金生活になったために、月に3万円しか生活費を使わなくなった世帯も少なくないでしょう。そのため域内のスーパーの売上げは激減して、経営危機になっていることでしょう。かつてダイエーが破綻した原因の一つは、都市計画の拡張主義に便乗してしまったことにありました。駅前商店街はシャッター通りと化し、スーパーは潰れてしまい、残っているのは国道沿いのコンビニだけという状態です。つまり、その街はゴーストタウン化していくのです。これが、ニュータウンが衰亡するメカニズムです。

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