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建物の形状

2018年9月20日「木曜日」更新の日記

2018-09-20の日記のIMAGE
現場打ちコンクリートは建物の形状に合わせ、ベニヤ板(コンパネ)で成型した型の中にゆるゆると流し込んで固めます。これに対しPCパネルは、板自体が完成しています。一枚のなかに、柱や梁のような役目を持つ厚肉部(リブ)と、筋交いの役目をする薄肉部(シェル)があって、さまざまな方向からの力に強い構造になっているのです。一見したところ、わずか四七ミリの厚みしかない、凸凹があるコンクリート板です。このような薄さでも、厚肉部・薄肉部が役割分担しているから、圧倒的な強さを実現できるのです。PCパネルがどのくらい強いかというと、平均五二・五ニュートンという圧縮強度の記録が出ました。つまり、一平方センチあたり五〇〇キログラム以上の重さを加えても大丈夫な強度です。一枚で、なんとジャンボジェット機を一機、まるまる支えます。これは、現場打ちコンクリートの約一・五倍という強さです。軽量鉄骨の建物に使われるALC(軽量コンクリート)に比べると、十倍以上の強度になります。この強さは、「硬練り」「振動締め固め」「蒸気養生・自然養生」の組み合わせによる結果なのです。このように単体でも抜群の強度を持つPCパネルを組み合わせてつくるのがWPC工法です。すべてのパネルが強いうえ、結合部もまた驚くほど頑丈になっています。PCパネルをつなぐボルトは、一枚のパネルにつき約十本使われます。その引っぱり強度は、細いボルドー本でPC壁パネル五枚分(約五トン)、太いボルドー本でPCパネル十枚分(約一〇トン)を支えられるほどです。こうした素材で、しかも壁式に丈夫に組み立てられるから、WPCの家は比類なく強いのです。さらに壁と天井(または二階、三階の床)の間は、やはりPCでできた丈夫な梁があって、壁と床パネルをがっちり連結します。WPC住宅には、PC梁を用いないS型と、梁を用いるT型があって、量産公営住宅(団地)の昔から使われてきた主流は、S型でした。これに対しT型は、高さ三ハセンチのPC梁が横をつなぐように入った、箱型の構造部分をがっちり固め、一体化させます。こうすると、梁で箱型を締める形になりますから、さらに強く安定するわけです。だから、窓を上から下までフルに大きくとっても、安定性はまったく損なわれません。強いつくりは、より開放的で自由度の高いつくりでもあるのです。

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