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社長になろうという夢

2018年9月10日「月曜日」更新の日記

2018-09-10の日記のIMAGE
 ″三つ子の魂、百まで″とか、″初志貫徹″といえばそのとおりだが、人並みはずれて起業家精神にあふれていたことはたしかだ。  「それでも、思春期ですからいろいろありましたよ。一度は出家しようと、家出をしたこともあります。  多感な時期に人生哲学の本を読み、それに感化されて、人間はなんのために生きるのか、などと考えていたころです。人間とは子孫を繁栄させるだけの生き物なのか、私の社長になろうという夢は、自己顕示欲を満たすものでしかないのか、それならば、いっそのこと坊さんになろう。そう思って、実家のある五島列島から、もっとも遠い北海道の寺に行こうと家出したのです。  結局、家出は未遂に終わったのですが……。小さな島ですから、家出するにも船に乗らなければ、どこにも行けません。たまたま乗った船に学校の先生がおり、すぐに捕まってしまいました(笑)」  先生に「どこに行くんだ?」と聞かれたH氏は、「ちょっと法事があるので……」ととっさに嘘をついたのだが、先生が両親に連絡をしてたしかめたところ「法事なんかない」ことが判明してしまう。  当時、高校生としては体の大きいほうだったH氏が、港から力づくで逃げると思った父親は、すぐに親戚に連絡をして、「逃げないように、迎えに行って捕まえてくれ」と頼んだという。  高校に入るとH氏は、今度は空手をはじめた。ところが、翌年には空手部自体がなくなってしまったため、応援部に入部、応援団長まで務めた。この時期のH氏は、エネルギーがありあまっているかのように精力的に部活動に取り組んでいる。まるで、小さな島での生活では収まりきれない思いが大きな体からあふれ返っていたかのようだ。  そんなとき、父親から「ネクタイをする仕事をするのか、それとも作業着で仕事をするのか、自分で考えろ。どっちがいいとはいわないが、どっちに向いているかは自分で判断しなければいけない」といわれた。  さらに、父親は「世の中には、努力しても芽の出ない人もいる。チャンスがあっても逃がしてしまう人もいれば、チャンスをしっかりつかむ人もいる。おまえは徒党を組んで、ガキ大将みたいなことをやってきたのだから、何人かを率いるリーダーにはなれるはずだ」と諭したという。  すでに、父親は息子が経営者に向いていることを見抜いていたようだ。小学生のときから、ずっと社長をめざしていたH氏の熱い思いは、知らず知らずのうちに、その行動や態度にも現れていたに違いない。

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