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住宅政策と若年層

2018年9月1日「土曜日」更新の日記

2018-09-01の日記のIMAGE
若年層の住宅問題を生みだす要因は多岐にわたる。住宅市場の需給関係、経済状況の変化、社会階層の編成……などの多数の要素が住宅事情に影響する。しかし、重要なのは、若年層の住まいの条件を政府の住宅政策に関連づけて捉える視角である。住宅の領域に対する政府介入は戦後に拡大し、現代の「住宅問題」は「住宅政策の問題」へと発展した。市場経済のメカニズムが住宅問題を必然的に生みだすという見方がある。この見方は間違いではない。しかし、住宅問題に対してどのような住宅政策を組み立てるのかは自然に決まる事項ではなく、社会的な選択にもとづいている。そこでは住宅政策のあり方が住宅問題の程度と内容を大きく左右する。現代の住宅問題は経済次元の「自然現象」ではありえず、住宅政策との関連において把握される必要がある。戦後日本の住宅政策は多くの人びとが標準パターンのライフコースを歩むという前提に立脚し、中間層の家族の持家取得に援助を集中した(Hirayama。2003)。これに対し、若い世代では未婚者が増え、就労の不安定化か進んだ。住宅政策が想定するライフコースと実態としてのライフコースの不整合が拡大するにつれて、若年層が住宅の「梯子」に参加することは、いっそう困難になる。この不整合の増大が若い人たちの住まいの状況を理解するための鍵である。

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