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天井材にどんな機能を求めるか

2018年5月8日「火曜日」更新の日記

2018-05-08の日記のIMAGE
 茅葺き屋根だった昔の農家の、節だらけだった和室の竿縁天井は、じっと見ているとどうしても恐ろしい顏に見えてしまって眠れない夜があったり、夜中にネズミが走りまわって板の隙間からゴミや煤が落ちてきたりしたものですが、今では懐かしい思い出のひとつです。  和室といっても、現在では無垢の板などとても高価なものになってしまい、たとえ板があったとしてもそれを竹トンボや本実加工するのは至雌の技で、今や古い技術になりつつあり職人探しもたいへんです。その和室の天井も、無垢の3mm板を10枚にも剥ぐすばらしい(?)技術でつくった紙のような本物の板を、ベニヤ板の上にそっと貼ったものや、いくら目を凝らしてみても本物にしか見えない、浮き造りまである印刷紙を貼ったプラスターボードに取って代わられてしまいました。天井は手で触れるほど近くにないものですから、ビニールクロスでもまったく本物の板と見分けがつかないほどりっぱ(?)な製品や触ってもわかりにくいものまであります。  農家などはもともと天井がなく、平屋なら小屋のゴミが藩ちてこないように張られはじめたという程度のもので、2階建ての1階ならば、2階の床下と根太組みが1階の天井そのものだったりしたのです。今でもこうした工法をよく見かけますが、のっぺりと張られた薄っぺらな化粧のような天井よりも、力強いダイナミックな魅力を感じます。天井商が感じられ、梁や根太が力を受けてがんばっているのが見えるせいでしょうか。今ではネズミの運動会という言葉もあまり聞かなくなりましたが、2階の天井も断熱をきちんとしたうえで垂木の下に天井を設けると、構造材を化粧組みするのはたいへんですが、ボリューム感あふれる空間ができ上がります。  天井はいくらかの断熱性や吸音性、あとは見た目程度の機能しか持ち併せていませんが、内装部分でもさまざまな制約条件がある床や壁と違って、そもそもスタートがゴミ除けや化粧からはじまった部分だけに、何となく説得にも力が入らなくてすいません。

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