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高気密・高断熱が求められる理由

2018年3月15日「木曜日」更新の日記

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 日本では北海道の冬場を快適に過ごすための建築工法、「北方圏型住宅」が開発され始めていました。当時の日本は、まだ単板ガラスが中心で、アルミサッシが主流でしたが、現在のように、サッシの重要性について語られることはありませんでした。  先進国の住宅は、すでに樹脂サッシが採用されていましたが、日本ではいまもってアルミサッシが主流で、時代に合わせて一部改良した程度ですませています。大手の住宅メーカーは、さすがに寒冷地では樹脂サッシを採用しているのですが、どちらが性能的によいかは当然わかっているわけです。  住宅から失われる熱量の多くは、窓などの開口部からですが、どんなに壁や天井に断熱材を入れてみても、肝心の開口部の断熱性能が劣っていてはどうにもなりません。  ところで、なぜ「高気密・高断熱」が必要なのでしょうか。  もともと日本の住宅は、高温多湿の夏の過ごし方を中心に造られていたので、冬の暖房は、建物全体の暖房を考えたものではなく、必要な部屋のみを暖房するというものでした。しかし、このような過ごし方は、冷暖房機の装置がない時代のことで、暮らし方も住宅の造り方も変わったいまは、冷暖房機を使用するのは当たり前となりました。そこで、よりエネルギー効率のよい住宅を建てるために、断熱化が進んできたわけです。  日本の住宅の断熱化は、厳しい寒冷地で広まり、特に北海道はいちばん進んだ地域になりました。一方、温暖な地域では「夏も冬もあるため」、この高気密・高断熱の工事が進展しなかったといえます。しかし、この温暖な地域でも冷暖房機は各家庭に普及しています。  冷暖房機が普及すると、今までの「開いた」ままで「閉じる」ことができない住宅は、エネルギー効率が極端に悪い住宅となります。この「閉じる」ということは、要するに住宅の外部の断熱性、内部の気密性を高めることなのです。それは、窓などの開口部が少ない家を造ることでもないし、気密性を高めることで息苦しくなる家を造ることでもありません。  冬と夏は、外部からの影響を少なくして冷暖房機の負担を減らし、春、秋は、窓を開けて外部と同じ環境を取り入れ、自然な快適さを取り入れようという家造りです。そのためには、しっかりとした断熱工事と気密工事が必要となります。  もちろん、窓やドアも高性能な部材としなければなりません。一般に、冬の暖房時における熱損失の48%、夏の冷房時に建物内に入り込む熱量の71%は、開口部が原因といわれます。夏場は日射しの形で入り込むため、ひさしを深くすることやブラインドや落葉樹木による日射遮蔽が重要になります。もちろん、窓はペアガラスよりも光を通しても熱を通さないタイプ、サッシは断熱サッシが求められます。  その結果、今まで以上に大きな開口部を造ることも可能となり、明るく快適な室内を造ることができるようになりました。開口部の日射遮蔽と断熱が、温暖地の省エネルギー性能を高めるカギとなったのです。  高断熱・高気密の家の特徴は、家中の温度が均一になることです。均一になると、なぜ健康的なのでしょうか。  よくいわれることですが、温められた部屋から出て寒いトイレや洗面所に入ると、その大きな温度差によって血管は急激に収縮することとなり、血圧の高い人は、大きなストレスを受けることになります。それが脳卒中の原因となったりするため、健康への影響は大きいといえるでしょう。  住まいの寿命を縮める壁体内の結露を防ぐ防湿層のない壁や、気密化されていない壁の場合、室内の水蒸気が壁の内部に侵入するため、壁内部で結露が生じ、土台や柱などの構造材を腐らせてしまいます。神戸の震災でも、倒れた家屋の中にこうした事例があったことが報告されています。  断熱材の間違えた使用や気密層のないことが、本来長持ちするはずの住宅の寿命を縮めてしまうことになるのです。気密性を高めるということは、壁や天井、床などで部材と部材の間にある隙間をできるだけ少なくするということなのです。  一部誤解されているのですが、気密性を高めることと窓の大きさや形状は関係ありません。壁に断熱材を入れても隙間だらけの住宅は、外気が入り込むため断熱材の効果は期待できません。  当然、気密性の低い住まいは、絶えず家中の空気が外気と入れ替わっているために、暖めても冷やしてもエネルギーロスが多くなるのです。

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