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住宅の性能考えがなかった日本

2018年3月14日「水曜日」更新の日記

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 2000年の秋から、任意ではありますが、住宅の性能表示というものが採用されました。  それ以前にあった性能を表す言葉といえば耐久性と耐震性くらいでした。基本的に夏の気候を考えて造られた日本の住宅には、高断熱・高気密の必要性がなかったわけです。  しかし、住宅の性能表示が採用されてから「高気密・高断熱」を売り文句にする住宅がずいぶん増えました。  北アメリカの北部の住宅では高気密・高断熱の住宅に計画換気やセントラルヒーティングは当たり前の設備とされているのに対して、日本の住宅ではそれらがまったく考慮されていなかったのです。  どうしても目立ってしまうキッチンやユニットバスなどに目がいき、そんな設備以上に大切なことを、予算がオーバーすると後回しにしてしまっていたのです。  最近は、住宅性能のなかでも、特に「高気密・高断熱」に関心を持つ人が多くなりました。  住宅を造る側の立場としては、隙間相当面積(気密性を数値化したもの。1平方メートルあたりの隙間の大きさに当たる)や熱損失係数(建物の内から外へ逃げる熱の割合を表す数値)のほんのわずかな違いが、省エネルギーや快適な生活にどれだけ影響するのか疑問に感じます。  そんな数値を多少よくするために多くの建設費を使うよりも、もっとよい予算配分があるように思えるのです。  お酒のブラインドテスト以上に、わずかな数値の差だけで、住宅の快適度の明確な違いを指摘できる人がいるのでしょうか。  冷静に考えればわかることですが、人は数値を提示されるとどうしてもこだわってしまうのです。  熱損失の数値だけをよくするのであれば、価格の安いグラスウールで住宅をびっしり包んでしまえばいいのです。結露や経年変化による欠損などは、当初の数値には関係ないのですから、これが一番簡単な方法なのです。  住宅の性能表示は価格やデザインもふくめ、すべてのバランスで評価することが必要でしょう。

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