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伊勢神宮とパルテノン

2018年3月9日「金曜日」更新の日記

2018-03-09の日記のIMAGE
 ヨーロッパでは神の宮居はアテネの神殿のように、永遠にその建物を伝えるものでなくてはなりませんでしたから、幾何学と大理石とを使って、燦然たるギリシャのパルテノン宮殿を造りました。それは2千数百年を経た今も、もとの姿のまま、その形を伝えています。  ところが日本では、伊勢神宮のように、やがて朽ちていく白木の建物でもよかったのです。∃ーロッパ的な見方からすれば、20年ごとに造り替えていく木のやしろは、オリジナルではなくて単なるコピーだから、価値の低いものだと考えます。だが日本では形あるものは必ず亡びる。 生者必滅、会者常離の原則から逃れることはできない。しかし型は永遠である。芸術も文化も心の中にあると考えるから、型が伝われば価値は変わらないと思う。すべてのものは人問の命と同じように、限りあるはかないものと知っているから、木のように朽ちて自然に帰っていく清浄な素材に心を引かれました。  木は仏教の無常観に通ずるもってこいの材料だったのです。だからこそ建物の素材には木のような生物材料が選ばれたにちがいありません。そして同じ木の使い方でも、自然のままの白木の素肌に心の安らぎを覚えたのでした。  以上のように考えてくると、ヨーロッパの「金の文化」「石の文化」に対して、日本の「木の文化」の生まれた理由を納得することができると思います。  鉱物系に対する植物系、金属と石に対する木材、そして硬木に対する歇木の対比は、長い歴史の過程を経て、一方は智と意志の西洋文化をつくりあげ、一方は情操と直観の日本文化を発達させてきたのです。

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