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雑物の効用

2018年2月28日「水曜日」更新の日記

2018-02-28の日記のIMAGE
 短い時間の試験結果から、長い歳月の材質の変化を予測することはむずかしいという話をしましょう。生物材料に対しては特にこの注意が必要です。  藍の研究家として有名な後藤捷一氏によると、天然染料の藍染と合成染料の藍染とは、新しい時は専門家でも見分けがつかない。だが歳月がたてば、やがてその差がはっきりしてくる。天然の藍染は色があせないからだというのです。  木綿も麻も植物系だから、藍とはしっくり合うのでしょう。天然の藍には合成染料にない雑物が混じっているが、その雑物が微妙な役割を果たすのだそうです。人間は純粋な染料をつくり出すことに成功したけれども、雑物まではつくれなかった。雑物といえども果たすべき大切な役割がある。やはり造化の神にはかなわない、というのです。物理的・化学的な試験では、そういう微妙な違いを証明することはむずかしいけれども、千年という自然の営みは、2つの間に差のあることをわれわれに教えてくれるのです。  同じような話をイギリス人から、水について聞いたことがあります。日本人は、蒸留水は純粋で雑物を含んでいないから天然の水よりも高級だと思っている。しかし、イギリス人は蒸留水は飲めないから駄目だと考える、というのです。なかなか味わいの深い話だと思います。

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