【地価の本来の評価】
2016年6月26日「日曜日」更新の日記
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- ここで一つ注意しておきたいことがある。 今回の大震災で、千葉県の浦安や美浜地区などの湾岸地域で大規模な液状化現象が発生し、道路のマンホールが浮き上がったり、建物が傾くといった被害が出たために、湾岸地域の人気が下がり、地盤が固いといわれる東京西部の多摩丘陵や武蔵野台地に位置する立川、八王子、府中、国分寺の評価が高まっているといった報道が数多く見受けられた。 震災後の住宅トレントは、「安心・安全」と「環境」が重視され、これまでとは物件選びの基準が変わってくるだろうというわけである。 たしかに、住まい選びの基準の中で、災害に強い「安心・安全」が重要度を増したことは間違いない。だが、それによって今後、地価や物件の資産価値に大転換が起こることはないだろう。端的に言えば、震災のほとぼりが冷めれば、地価や資産価値は、震災以前とそれほど変わないところに落ち着くと考えられるのである。 震災以前、湾岸地域の高層物件などは、夜景のきれいなウォーターフロントのマンショ ンに暮らすという、ある意味一時の流行的なプレミアムがついて人気を博していた。それが今回の震災を受けて、そのプレミアムが剥がれ落ちたのは確かであろう。 しかし、雰囲気で持ち上がったプレミアムが失われたとしても、都心や職場への交通の便の良さや駅からの近さ、ブランドカといった、不動産物件自体が持つ本質的な価値が変わるわけではない。地盤が固いという理由だけで、都心から一時間近く離れた多摩丘陵や武蔵野台地の不動産価値が、都心までＩ〇～一五分という都心に近い湾岸地域の本質的価 値を逆転するとは思いにくい。 つまり、多摩丘陵や武蔵野台地の物件が高騰し続け、湾岸部の物件が暴落し続けることはないということである。これまでどおり、都心に近い物件はやはり人気を保ち、内陸部の物件の人気も、それ相応のところに落ち着いてくるだろう。土地や物件が持つ本来的な価値というものは、それほど強いのだ。 住まい選びのトレントが変わったという記事に踊らされ、湾岸の高層物件は暴落の一方だと思われた方は、いま一度、冷静になって考えてみてほしい。とくに投資物件としての不動産購入を考えている方は、この現実を見誤ると不人気物件をつかむということにもなりかねない。人気の不動産は、やはり便利な立地で、暮らしやすい環境にあることだ。
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