不動産探しと暮らしのアイデアを伝授!住まING

トップ > 平成28年5月> 21日

北欧の住まい方に学ぶ

2016年5月21日「土曜日」更新の日記

2016-05-21の日記のIMAGE
ヘルシンキのアパートメントぐらしが楽しい』フィンランドの首都ヘルシンキの真中に、トーロ湾という大きな水面がある。今回は市民の憩いの場であるその湾のすぐ近くに建つ、趣きあるアパートメントを取材することができた。ヘルシンキエ科大学に勤務しながら同大学で脳の研究をしているフィンランド人のトピー夕ン〇カネンさんと、ヘルシンキで建築を学んだ日本人M・Tさんカップルの住まいである。二人の住むアパートメントは戦前に建てられたアンティークな建物。この街では良い状態で保たれていれば古い物件ほど価値があり、熟年層のみならず若者の間でも人気が高い。外観など街の景観に影響を及ぼす改築に関しては市への申請が必要になるが、内部に限っては規制がなく自由に改装ができるそうだ。取材した彼らの部屋は建設されて以来70年の間、当初のままの状態で使い続けられてきたので、彼らは入居前に数ヶ月をかけてリノベーションを施し、自分たちのライフスタイルに見合った空間につくり変えられた。しかし、彼らのように本当に気に入った住まいを手に入れるのは、そう簡単なことではない。まず家探しには、毎週末の新聞広告と不動産屋のウェブサイトをチェック。売出し中の物件は、毎日曜日に一時間ほどのオープンハウスがあるので、自分たちで自由に見学することができる。日本のように不動産屋さんに気を使いながらではなく、気になる点をじっくり見極め比較できるところが、なかなかよいシステムだ。彼らはこれを利用して数十件もの家を巡り、自分たちの住まいを選ぶのに多くの時間を費やし探し当てたそうだ。最終的に二人がこのアパートメントを選んだ一番の決め手は、緑豊かな中庭に面した大きな窓。部屋は4階にあり、室内が樹木の陰になることもなく空を十分に眺められるし、光も多く取り入れられる。鳥の目線で外を感じることのできる開放的な空間だ。それ以外にも絶妙な天井高と広さのバランス、トーロ湾や公園のすぐ近くであることや街の中心部まで歩ける距離にある静かな住宅街といった好立地など、様々な決定要素が重なったとのことである。実際にこのアパートメントは、トーロ湾のほとりから少し上がった小高い丘の上にあり、大きく育ったたくさんの樹木が美しい、とても気持ちの良い環境にあった。建物の中に入ると正面に手開きの鉄扉のついたエレベータがあり、歴史ある雰囲気がひしひしと伝わって来る。エレベータの周りには螺旋状の重厚な階段が巡り、各フロアに4戸ずつ部屋が収まっている。階段の途中、中庭に面した位置に住民が共有で利用できるバルコニーが設置され、のんびり中庭の緑を感じたり夜空を眺めたりできる。地下、屋根裏、メインエントランス近くの計3個所に各戸の物置があって、エントラス近くのものは雪国の北欧らしくスキー板入れ。入居した際には、以前住んでいたおばあちゃんが所有していたとみられる1930年代製のスキー板が残されており、博物館にでも並んでいるかのような一品だったそう。これだけの収納場所があるお陰で、部屋の中は身の回りに必要なもののみが置かれることとなる。

このページの先頭へ