バリアフリーで安全な浴室を
2015年8月29日「土曜日」更新の日記
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- 風呂場での事故は防ぎたい。そこで、設計上の注意点を挙げてみる。
①脱衣室と浴室の土間の段差をなくすか、少なくする。段差をなくすと、洗い場の水が脱衣室の中に入りやすくなるので、写真Aのように、浴室入り口に格子状になった排水口(グレーチング)を付ける。もう一つ、ヒノキのすのこを置く方法がある。土間をその分、下にしておく。この場合、すのこ洗いと乾燥に手がかかる。
②排水口を二つ設けて土間排水を二カ所で行う。入り口の排水口は補助的なものにし、本来の排水口は水栓近くに配置する。その排水口に向かって水勾配を取る。
③浴室の土間には床暖房を入れるとよい。裸になって急激に身体を冷やすのは健康上よくない。特に高齢者にとっては事故が起こりやすい場所である。浴室全体を暖める方法として、浴室乾燥機がある。暖かい温風が天井から吹き出し、浴室の天井パイプにかけた洗濯物を乾燥させる。湿気は、乾燥機の換気扇が排出してくれる。
④浴室の壁、天井に、温かくて結露しないヒノキや青森ヒバを張ると、冷えを少なくすることができる。タイルは熱伝導率が大きく、浴室全体に張るとかなり冷える。木は温かく調湿作用があり、結露しにくく、身体のためにもよいものである。
⑤浴室の手すりは、工夫する点が多い。まず浴槽は、最初から手すりが付いているものをお勧めする。横に寝るような、底が浅く長いバスタブ(浴槽)は起き上がりにくいので、両手でしっかり握れて、楽に立てる手すりが付いている浴槽を求めるとよい。手すりの付いていない浴槽の場合、すぐ近くの壁の、バスタブから起き上がるとき力がかかる所に手すりを取り付ける。さらに、浴槽の縁をまたぐときにつかまる手すりや、脱衣室から浴室に入るときの手すりなどが考えられる。
手すりだらけの浴室が必要なほど身体が弱っていれば、介護が要る。バリアフリーは車椅子で生活することを想定しているが、それだからいい家だというわけではない。何を必要とするかは、建主の考え方次第である。
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