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断熱効果もある障子を洋風の部屋に使う

2015年8月26日「水曜日」更新の日記

2015-08-26の日記のIMAGE
障子は和風のたたずまいを思い起こさせるが、今日、障子は和風建築にばかり用いられているわけではない。壁に柱が隠れる大壁造りの洋室に障子を組み入れた住宅を、ときどき目にすることができる。東京・港区にあるホテルオークラのロビーは、広いスペース全体を和風に仕上げてある。窓側は床から上部まで障子を施し、ロビーの調度と相まって静かな落ち着いた雰囲気をかもし出している。 格子様のデザインの窓は日本特有のものではなく、西欧でも見ることができる。アメリカでも、障子風の格子を住まいに取り入れるスタイルは人気があるが、プラスチック系の素材が使われたりするところは、いかにもアメリカ的だ。 障子を日本のものと思いがちなのは、和紙を張っているからだろう。日本では、木と紙が古くから生活文化として発達した。といっても、和紙を張った障子の部屋が、必ずしも和風とは言い切れない。近頃、洋風の部屋に障子を採用する建築家が増えてきた。 私は以前から洋間の窓にカーテン代わりに障子を使う方法を取り入れている。カーテンは光をさえぎるので室内が暗くなりがちだが、障子越しの光は目にやさしく、ガラス戸より明るい印象さえある。デザイン的にもシックで引き締まった趣がある。 また、カーテンの場合、寒い時期、窓際の冷気がカーテンの裾から室内に絶え間なく流れ込むが、障子は敷居まで密着した建具なので、空気が閉じ込められ、冷気が足元に及ばない。それに紙は、微細な繊維の間に空気を抱え込む性質を持っていて、冬暖かく夏涼しい部屋を作るのにたいへん合理的にできている。 例えば、冬の寒い日、サッシのガラス窓の近くにいると、冷気が伝わってくる。サッシがペアガラスであっても、手や頬を近づければ、冷たい空気の流れが分かる。そこで、サッシの内側の障子を閉めると、ピタリと冷えた感じがなくなる。西日が入り込むサッシ窓の内側に障子があれば、強い日差しや熱を抑えてくれる。障子は優れた断熱材なのである。 洋間に障子を組み込むのは、現代的な感覚といえるだろう。

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