不動産探しと暮らしのアイデアを伝授!住まING

トップ > 平成27年8月> 19日

セメント瓦は避けたい

2015年8月19日「水曜日」更新の日記

2015-08-19の日記のIMAGE
セメント瓦は、一見一般的な焼き瓦のようだが、側面を見ると、固めたセメントでできていることが分かる。セメントを固めた上に塗装が施されている。 一○年ほど前、有名住宅メーカーの建築現場でこのセメント瓦が使われているのを見て、びっくりした。瓦と言えば、焼き瓦と思っていたので大手メーカーがこんなものを使っているのかと驚いた。 粘土に粕薬をかけ、焼いて青色になった陶器瓦である。 素人には、屋根の上に葺かれた状態では、陶器瓦かセメント瓦かの判断は付かない。 素人に分からないからこういう使われ方が起こるのである。 セメント瓦は非常に重量がある。一枚の大きさが大きいことと、セメントを固めたものなので、厚くせざるを得ないことが原因である。実際、瓦職人に聞いても、「工事をするとき、重くて大変だ」と言っている。それに、材料がセメントでは、長い年月の耐久性は期待できないであろう。また、屋根が重くなるというのは、建築主にとっては心配である。 一方、陶器瓦は、セメント瓦より軽く、薄くて強度もあり、紬薬をかけて焼いているので、表面は茶碗の仕上がりと同じで、ガラス質になる。透明度が出て、水を通さず、抜群の耐久性が生まれる。強烈な直射日光による高温にも耐え、積雪、氷点下の温度にも耐えうるなどの利点がある。 粘土を焼いて使うことは、人類五○○○年の知恵と言える。セメントを固めた瓦と陶器瓦とでは、本来比較にならない。私の知っている瓦職人も、セメント瓦は使わないということである。 ここで述べたセメント瓦は、旧財閥系の、誰でも知っている有名な住宅メーカーが使っていたものである。建てている所は、広い道路で美しく区画された住宅地である。こんな粗末な瓦を使うとは、会社が有名なら何でもありといった感じである。 これは消費者にも責任がある。「いわしの頭も信心から」という諺があるが、企業名を信じて疑わない。その結果、こんなひどい瓦を屋根に載せられてしまうのである。

このページの先頭へ