不動産探しと暮らしのアイデアを伝授!住まING

トップ > 平成27年8月> 8日

しなやかに地震に耐える木造軸組工法の家

2015年8月8日「土曜日」更新の日記

2015-08-08の日記のIMAGE
一三○○年前に建てられた法隆寺の五重塔は木造の高層建築といえるが、歴史に残る大地震や記録的な台風にも倒れなかった。その秘密が柔構造にある。 日本の在来工法は、地震などの力をしなやかに受け流して耐える柔構造の考えでできている。塔を外から眺めると分かるが、各層を支える壁の木組みには遊びが作ってあり自由に動くようになっていて、ここが地震や台風の時の揺れやしなりを吸収するクッションの役目をしている。塔がしなっても直接、壁に力がかからず、塔全体の重量は、中心に通っている太い柱(心柱)が支えている。土台、桁(梁)、及び軸となる柱で立方体を作る、この建築方法を木造軸組工法と呼んでいる。 一方、木質系プレハブ住宅やツーバイフォー住宅のように、建物を支える耐力壁としてベニヤ板(構造用合板)を利用するものを壁式構造といい、この工法は地震などの力を受け止めて動かないようにしてしまおうという考えに立っている。 木造建築は、中国の段の時代にさかのぼり、わが国でも千数百年の歴史を持つ。気候風土を踏まえ、木の性質を良く理解して活用する工法を編み出した日本人の知恵と工夫が集積されて木造建築は大きく発展した。建物も長く持ち、さらに柔構造という方法で地震や台風にも強い建築が育ったのである。 日本の超高層建築の先駆者で霞が関ビルを設計した武藤清氏が、鉄筋コンクリートのような剛構造では不可能といわれた超高層ビルを五重塔の柔構造をヒントに可能にした話は有名だ。しなやかな丈夫さというものが建築の強さにとってどんなに大切かを物語っている。 木は、乾燥状態だと数百年持つ。しかし、雨ざらしにしたり、湿気を多く含んだ状態にすると、白アリに食べられたり、腐ったりする。これは、ツーバィフォー住宅でも同じことである。だから、床下の通気や、家の構造体の通気は、建物自身の健康のためにも重要は、住むのにはつらい。 このように見てみると健康にあまり良いとはいえない。お年寄りが鉄筋コンクリート住宅を嫌う理由はこんなところにもあるわけだ。 遮音性は優れている。入り口や窓などの開口部をきちんと処理すれば、とても静かな空間を作れる。交通騒音の激しい地域の住まいや音楽室などの併設に適している。コストの面では高くつく。特定の目的があって建てる場合を除いて、一般の住まいには基本的に適しているとは言えない。

このページの先頭へ