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丈夫な建築とはなにか

2015年8月7日「金曜日」更新の日記

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丈夫な建築というと、地震が来てもびくともしない強固な建築を想像されることだろう。昭和二五年に、欧米の建築技術をもとに、今の建築基準法が制定されたときも、その基本となる考え方は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造のような強固な建築であった。ことに鉄筋コンクリート造の建築は、見るからにガッシリとしていて、丈夫で長持ちの代表のように考えられていた。 しかし時代が進むにつれ、鉄筋コンクリート造で頑丈に造ることだけが、丈夫な建築とはいえないことが分かってきた。とくに日本のように地震の多い国では、鉄筋コンクリート造のような、重量が大きく強固な建物は、高層建築になるとかえって倒壊する恐れもあることが計測されたのである。後の超高層ビルは、日本の「五重塔」に見られる柔構造の考え方がヒントになっている。 鉄筋コンクリート造のように剛構造といわれる建築でも、力を受け流す柔構造的な考えが必要なのである。例えば、鉄筋コンクリート造で、柱を短くして、その柱にしっかり壁面を接続すると、逆に地震の力をまともに受けて崩壊しやすくなる。地震の力に、ただ単純に負けまいとするような建築をすると、かえってもろくなるのである。 丈夫さといっても、かたくなな強さ(剛構造)と、それから力を受け流しながら常に元に戻るしなやかな丈夫さ(柔構造)とがあり、どちらも大切で、また弱点もそれぞれ持ち合わせている。実際の建築は、お互いの性質を組み合わせてなされている。ツーバイフォー住宅は在来工法より地震に強いといって、トラックで引き倒す実験をして見せているが、建築でいう丈夫さをそのまま証明したことにはならない。 もう一つ大切なことがある。長持ちすることも丈夫さの要素である。木と鉄とコンクリートの中で、最も強度、形が変わらないのが、実は木なのである。鉄は酸化して錆びる。コンクリートも、初めはアルカリ性だが、酸化するにつれて中の鉄骨が錆び、膨張し、自ら破壊していくので、耐久性は五○年から一○○年である。一方、木は数百年と持つのである。

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